テレワーク中の「息抜きが難しい」と感じたことはありませんか。
自宅で仕事をしていると「同僚と雑談する」「執務スペースから離れた給湯室でお茶を入れる」など、オフィスならではの息抜きができなくなります。
また職場ならランチタイムには食堂や休憩スペースに移動することで強制的に仕事から離れられますが、自宅だと「ランチを食べながら作業を続けている」という人もいるかもしれませんね。
しかしテレワークであっても、息抜きや休憩は必要。
伊藤 陽介
今回はテレワーク経験者500人に「テレワーク中の息抜き方法」と「休憩を取るタイミング」についてのアンケート調査を実施。
- 調査対象:テレワークの経験がある人
- 調査日:2021年4月18日~19日
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 調査人数:500人(女性314人/男性186人)
アンケート結果に対して、京都先端科学大学の経済経営学部教授、安達 房子先生から監修コメントいただいております。
安達 房子先生
大阪府出身。
1998年3月 立命館大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了(経営学修士)。
2001年3月 立命館大学大学院経営学研究科博士課程後期課程単位取得。
現在 京都先端科学大学(https://www.kuas.ac.jp/)
経済経営学部教授
主著に『ICTを活用した組織変革―マネジメントの視点からのテレワークの分析―』(晃洋書房)がある。
【500人調査】テレワーク中の息抜き方法
男女500人に「テレワーク休憩中、どのような息抜き方法を行っていますか?」と質問したところ、結果は以下のようになりました。
回答数が多かった順に10位までをランキング形式で紹介します。
テレワーク休憩中の息抜き方法ランキング、ダントツ1位は「外出する(203人)」でした。
2位「ストレッチ・運動をする(107人)」、3位「飲み物休憩をとる(102人)」、4位「動画・テレビ・映画を観る(61人)」と続きます。
以降、5位「おやつを食べる(57人)」、6位「家事で気分を切り替える(42人)」、7位「音楽・ラジオを聴く(41人)」、8位「ペットと触れ合う(32人)」、9位「外の空気を吸う(30人)」、10位「ゲームで遊ぶ(22人)」の結果に。
全体的に「外食」「買い物」「散歩」など、できるだけ外出して息抜きしている人が多数。
また「家事をする」「ペットと触れ合う」など、自宅でのテレワークならではの回答も入りました。
では各ランキングの詳細解説とあわせて、具体的な回答をご紹介します。
1位 息抜きのために外出する
- 近所のカフェに息抜きで行きます(20代男性)
- 午前と午後に一度ずつ外に出ています。散歩のときもあれば、銀行や買い物も。それが息抜きです(40代女性)
- 近くのコンビニに用事がなくても行く(50代男性)
ランキング1位は「息抜きのために外出する」でした。
外出先はスーパー・コンビニ、レストラン・カフェ、公園などさまざまで、「どこにも寄らずにただドライブ」という人も。
外出することで多かれ少なかれ身体を動かしますし、仕事をしている場所から離れて上手にリフレッシュできそうですね。
また「連絡はとれる状態で散歩にいく」という回答もありました。
2位 ストレッチ・運動をする
- 家のすぐ近くにジムがあるので、30分程度筋トレをしにいく(20代男性)
- 集中力が切れてきたら、動画サイトでストレッチ・運動系の動画を見て身体を動かし、リフレッシュしている(30代女性)
- ベランダに出て体操をする(50代女性)
2位にランクインしたのは「ストレッチ・運動をする」です。
体操やストレッチをしてリフレッシュしているという人も多いとわかります。
「エクササイズ系の動画を見ながら」「フィットネスゲームで」など、動画サイトやゲームを活用している人も目立ちました。
また「ベランダに出てストレッチ」など、自宅であっても外の空気を吸いながら運動している人もいました。
3位 飲み物休憩をとる
- 専門店でドリップしてもらったコーヒーを自分の好みで入れて休憩する(30代女性)
- 家のテラスでカフェに行った気分でお茶をする(40代女性)
- 窓を開けてコーヒーを飲む(50代男性)
「飲み物休憩をとる」が3位です。
1位「外出する」の中にも「カフェにコーヒーを飲みにいく」「コンビニにコーヒーを買いにいく」が含まれているので、飲み物で息抜きしている人はかなり多そうです。
「少し高級なコーヒーを飲む」「テラスやベランダで飲む」など、飲み物そのものや飲み方・飲む場所にこだわっている人もいました。
飲み物の質や飲む場所にこだわると、コーヒーブレイクの満足感が高まりそうですよね。
4位 動画・テレビ・映画を観る
- 録画したドラマやバラエティー番組を観ます(30代女性)
- 動画サイトでポメラニアンの動画を観る(40代男性)
- 2時間映画を倍速にして1時間で観る(50代男性)
4位は「動画・テレビ・映画を観る」です。
好きな動画を見て、ガラリと気分を変えてリフレッシュしている人も多いのですね。
中には「無音の中で仕事をしているので、テレビをつけて誰かの声を聞きたくなる」という意見も。
また「ダラダラ観ると仕事に戻りたくなくなるので、作業時間・休憩時間を決めている」と、きちんとルールを設けている人もいました。
5位 おやつを食べる
- ダメだと思いつつも、お菓子に手が伸び、お茶をしてしまいます(30代女性)
- リビングにおいてあるお菓子などを食べる(40代男性)
5位には「おやつを食べる」がランクイン。
コーヒーなどの飲み物とともに、お菓子もつまむという人が多くなりました。
中には「15時に絶対おやつを食べてコーヒーを飲む」と、時間を決めている人も。
「会社には持っていかないチョコレート」「キンキンに冷やしたチョコレート」など、お菓子にこだわっている人もいました。
6位 家事で気分を切り替える
- 浴室の掃除をする、キッチン周りの整理整頓をする(20代女性)
- ベランダでの洗濯物干しを積極的に行います(40代男性)
- お昼ご飯は必ず自分で作って、料理を息抜きにしています(50代女性)
息抜きとして「家事で気分を切り替える」が6位に入りました。
料理、掃除、アイロンがけなどが息抜きになるのは、テレワークならではですね。
あまり長くならないよう「夕飯の下ごしらえは10分くらいできりあげる」「簡単な家事をする」という回答もありました。
女性からの回答が多かったものの、「家事」と答えた男性も4人いました。
7位 音楽・ラジオを聴く
- 音楽を聴いてリフレッシュする(30代女性)
- ラジオを聞いています(40代女性)
- 好きな音楽を聴いてリラックスする(60代以上男性)
7位は「音楽・ラジオを聴く」です。
オフィスワークと違い、周りの人を気にせず好きな音楽を聴けるのも、テレワークならではですね。
中には「眠気覚ましのため、音楽をかけながら仕事をする」という回答も。
「運動しながら音楽を聴く」「音楽を聴きながらコーヒー」など、他の息抜き方法と合わせて音楽を聴いているという回答も目立ちました。
8位 ペットと触れ合う
- 飼っているペットの様子を見て話しかけたりする(20代女性)
- 犬を飼っているので、一緒に散歩して遊んだりします(40代女性)
8位は「ペットと触れ合う」でした。
愛犬や愛猫とじゃれあうことでの息抜きは、職場ではできませんよね。
中には「家の中で飼えるようなペットを飼って楽しんだりしていた」と、テレワークをきっかけにペットを飼いはじめたと思われる回答もありました。
また「5分だけ犬とたわむれる」と、時間を決めて息抜きしている人もいました。
9位 外の空気を吸う
- お部屋の窓を開けて、空気の入れ替えをしていました(20代女性)
- ベランダに出て日光を浴びる(30代男性)
「外の空気を吸う」が9位にランクイン。
「外出する」まではいかなくても、家の中で外の空気を吸って息抜きしている人も多いとわかりました。
部屋から出たり窓を開けたりして、外の空気に触れたり日光を浴びたりするだけで、気持ちスッとリフレッシュするような気がしますよね。
「オンライン会議での社外秘の内容が外に聞こえないよう、窓を閉めて仕事をしていたので、窓を開けて空気の入れ替えをするとスッキリできました」という回答もありました。
10位 ゲームで遊ぶ
- ゲームをして息抜きしてます(20代男性)
- コーヒーを飲みながらゲームをする(30代女性)
10位は「ゲームで遊ぶ」でした。
スマホのほか、家庭用ゲーム機やパソコンでゲームしている人も。
「30分程度」と時間を決めて遊んでいる人や、「昼食の買い物に行く途中で、位置情報ゲームを少しだけプレイ」という人もいました。
通勤の手間がはぶけ、自分のペースで仕事のできるテレワークですが、運動不足になりがちです。
また、「テレワーク疲れ」といわれる心身の疲労や不調を感じている方もいるのではないでしょうか。
こうした問題を防ぐために、仕事の合間に意識して息抜きすることが必要になります。
テレワーク中の息抜きでランキング上位の「外出する」「ストレッチ・運動をする」は、運動不足と心身の疲労の両方を解消できるという点で、効果的な息抜き方法といえるでしょう。
その他にも「飲み物休憩をとる」「動画・テレビ・映画を観る」「家事をする」「ペットと触れ合う」など、一人ひとりの生活スタイルに合った息抜き方法を見つけ、仕事への集中力を高めつつ、健康を維持するようにしましょう。
【500人調査】テレワーク中の休憩を取るタイミング
同じく男女500人に「休憩はどのようなタイミングで取っていますか?」と質問しました。
回答数が多かった順に7位までをランキング形式で紹介します。
1位は「仕事に区切りがついたとき(233人)」でした。
2位「あらかじめ決めた時間に(94人)」、3位「ランチ休憩のみ(57人)」、4位「○時間おきに(57人)」と続きます。
以降、5位「トイレにいくとき(31人)」、6位「集中が切れたとき(29人)」、7位「疲れたとき(27人)」となっています。
ランチ休憩といった決められた時間だけではなく、疲れて集中が切れたタイミングなどに、随時休憩をとっている人も多くなりました。
8位以下には「仕事が行き詰まったとき」、肩こりなど「身体が痛いとき」「待機時間・相手のレスポンス待ちになったとき」なども入っています。
では各ランキングの解説とあわせて具体的な回答を紹介します。
1位 仕事に区切りがついたとき
- 仕事の区切りで30分×3回が多い(20代男性)
- あまり特定の時間を決めず、仕事や打合せが終わったタイミングで取得しています(30代男性)
- 仕事の区切りがついたタイミングでこまめにとっています(40代女性)
ダントツの1位は「仕事に区切りがついたとき」です。
「書類の作成が終わったとき」「メールチェックが終わったら」「オンライン会議が終わったタイミング」などで休憩をはさんでいる人が多いとわかります。
「今作業がはかどっているところだから、集中力を途切れさせずにもう少しこのまま続けたい」という場合に、フレキシブルに休憩時間をずらしていることが伺えます。
ひと段落したら休憩を取り、リフレッシュしてからまた仕事にとりかかることで、やる気も出そうですね。
2位 あらかじめ決めた時間に
- 12時になったらと16時くらいに。時間を決めています(20代女性)
- 15時にお茶とストレッチで30分とるようにしています(50代男性)
2位は「あらかじめ決めた時間に」休憩をとるという人でした。
「15時からおやつ」「夕方に散歩」などと決めておき、そのとおりに休憩している人が多数。
休憩中にやることや、何分間休憩をとるかを決めている人も多くいました。
また「システムの集計時間が10時と15時のため、10時過ぎと15時過ぎに10分くらい休憩」と、仕事のスケジュールに合わせて休憩を組み入れているという回答もありました。
同率3位 ランチ休憩のみ
- ご飯を食べるタイミングで休憩をとっています(20代男性)
- 基本的にはランチ休憩のみです。集中すると時間を忘れるので、作業の区切りに関係なく、休憩時間を決めて強制的に取るようにしています(40代女性)
「ランチ休憩のみ」と答えた人が57人で3位でした。
休憩タイミングとして「ランチ休憩」を挙げた人は324人いたのですが、ランチ休憩はほとんどの人に必須であろうことから、このランキングでは「休憩タイミングはランチ休憩のみ」と答えた人をとりあげています。
人の目のないテレワークであっても、休憩をランチ時しかとっていない人も多いのですね。
ランチ休憩をとる具体的な時間について「12時」や「もともとのお昼休憩の時間帯」など、きちんと決めている人もいました。
同率3位 ○時間おきに
- 仕事の区切りがつかない場合でも、最長2時間で一度休憩をとる(30代女性)
- 1時間おきに10分程度の休憩をはさむようにしています(40代男性)
同率3位は「○時間おきに」休憩するという回答でした。
「10時と15時に休憩」ではなく、「1時間おきに10分休憩」というようにインターバル方式で休憩する人も多いようです。
インターバルと休憩の長さは「25分おきに5分」「1時間おきに10分」「2時間おきに15分」などさまざまでした。
5位 トイレにいくとき
- ランチ休憩とお手洗いのタイミングのみ(20代女性)
- トイレに行きたくなったときそのままブレイクを取る(40代女性)
5位は「トイレにいくとき」でした。
トイレにいきたくなったタイミングで、背伸びや軽いストレッチをするといった息抜きをしている人もいるようです。
またトイレに行くタイミングも「仕事の区切りに合わせて」という人や、「休憩は昼休憩とトイレのみ」という人も目立ちました。
6位 集中力が切れたとき
- どうしても集中できないとき(20代男性)
- 集中力の低下を感じた時に、一回休憩をはさんで仕事に集中できるようにしています(30代女性)
6位は「集中力が切れたとき」に休憩するという回答でした。
どうしても集中できないときには、諦めて一旦休憩することで、気分がリフレッシュして集中力を取り戻せるときもありますよね。
集中力が切れたり低下したりする原因としては、「疲れ」や「眠気」を挙げた人が目立ちました。
7位 疲れたとき
- 目が疲れたとき(40代男性)
- 午後、疲労がたまったときに適宜(50代男性)
7位は「疲れたとき」でした。
とくに「目が疲れたとき」と回答した人が目立ちました。
目が疲れると、パソコン画面が見えにくくなったり、なかなか集中できなかったりと、作業の効率が落ちてしまうこともありますよね。
目のまわりをあたためたりしてリフレッシュしているという人もいました。
また9位には肩や腰など「身体が痛くなってきたとき」も入っています。
テレワーク中は普段生活をする空間で働くため、仕事のオンオフの切り替えをしにくいことが課題となっています。
仕事にメリハリをつけるためには、テレワーク中のどのタイミングで休憩をとるのかという判断がとても重要になります。
アンケートでは「仕事に区切りがついたとき」が2位以下を大きく引き離して1位でしたが、もうちょっとここまでやろうと、休憩をずらしてしまうことに気をつけたいですね。
長時間働き続けてしまうことのないよう、その日にどんな仕事をするのかという目標を明確にし、どの作業を何時から何時までするといったスケジュールを立てるとよいでしょう。
アンケート上位の「あらかじめ決めた時間」や「○時間おきに」のように休憩の時間を決めておくことによって、それまでに仕事を終わらせようという意識が働き、集中力を高めやすくなります。
アンケート回答にある「集中力が切れたとき」「疲れたとき」にはかなり心身ともに疲労がたまっているため、すぐに休憩をとるようにしたいですね。
テレワーク中の休憩時間は平均1時間55分
最後に「テレワーク中、休憩は1日平均何分くらいとっていますか?」と聞いたところ、回答は以下のようになりました。
※テレワーク中の休憩時間には、ランチ休憩を含みます。
息抜き休憩の平均時間は115分(1時間55分)でした。
ランチ休憩と合わせて120分(2時間)以下の人が多数派の中、180分(3時間)以上休憩している人も4人。
一方で30分以下とかなり短い人も9人いて、最短は「10分」でした。
また「バラバラ」「波に乗っている日は休憩なし、乗らない日は休憩が長いからわからない」と答えた人も2人いました。
テレワーク中の休憩時間が30分以下とかなり短い人や、180分以上の長い人がいるのが気になりますね。
気づいたら長時間働いていた、隠れ残業をしているという人がいるのではないでしょうか。
労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を使用者は与えなければならないと定められています。
最低限、定められた休憩時間はとり、心身ともにリフレッシュしたいですね。そのほうが、仕事を効率的にすすめることができるでしょう。
まとめ
テレワーク経験がある500人を対象にアンケートを行ったところ、「テレワーク中の息抜き」第1位は「外出する」となりました。
「散歩」「ドライブ」「買い物」「外食」など、できるだけ家の外にでるようにしているという人が多数。
場所を変えることで、リフレッシュ効果がありそうですね。
テレワーク中の休憩時間は平均1時間55分でしたが、中には「10分」とかなり短い人も。
また休憩をとるタイミングは「仕事に区切りがついたとき」が最も多くなり、特定の時間を決めずにフレキシブルに休憩をとっていることが多いとわかりました。
「息抜き」や「切り替え」の難しいテレワークですが、上手にリフレッシュして生産性を高めながら仕事をしたいものですね。
テレワークを効果的に行うポイントは自己管理です。どんな息抜き休憩を、どれだけの時間、どんなタイミングでとるかは、集中力や健康を維持するために欠かせない自己管理の一つです。
テレワークの普及にあわせて、それに伴う健康問題は深刻化しています。テレワーク中に長時間同じ姿勢でパソコンに向かって仕事をし続け、肩こりや眼精疲労など健康に問題が出ている人がいるのではないでしょうか。
また、心身ともに疲れはててバーンアウト(燃え尽き症候群)になる人も増えています。
テレワーク中には適度に休憩をはさんでリフレッシュし、仕事のオンオフを切り替えるようにしましょう。
アンケート調査では息抜き方法として「外出する」「ストレッチ・運動をする」など様々な息抜き方法があげられていました。
各自の息抜き方法を見つけて実践し、運動不足やテレワーク疲れを予防してください。